群馬県前橋市昭和町
岩神稲荷神社の境内に存在。現地の地名「岩神」の由来とされる高さ9.47mの岩塊で、地下にも約10mにわたって埋没しているとされる。
飛石には祟り伝承が付帯する。石工が石材に用いようとノミを入れたところ、真っ赤な血が吹き出た。逃げ帰った石工は祟りのせいで後日死んでしまい、これを恐れた人々によって神としてまつられたという。
赤褐色の岩肌をもつことから血の発想を得たと思われるが、岩石から血が出るという生き物扱いをされていること、岩石自体が岩神と呼ばれ本殿に位置していること、岩石自体に意思の発動が見られることから、石神の事例として認められる。
都市部に独立して存在する巨岩であることから国指定天然記念物として古くから著名な存在であり、かつては近くの赤城山から噴出した火山岩と目されていたが、近年の理化学的調査により西の浅間山から流れ着いた安山岩と考えられている。
同時期に行われた発掘調査からは近世以降の遺物が出土し、江戸初期、前橋藩主の酒井重忠が岩神稲荷神社を勧請したといういわれと時代的に一致することになる。
これらの調査および飛石の詳細は以下の報告書にまとめられ、インターネット上で公開されている。