2026年2月1日

野宮神社の神石/亀石(京都府京都市)


京都府京都市右京区嵯峨天龍寺立石町



岩石の表面は艶やかで、多くの人に撫でられてきたことが伝わる。

神石(かみいし)と亀石(かめいし)は音の類似で並立したものと思われる。

撫でる祭祀行為をおこなうことで祈願達成となる。野宮神社の主祭神に対する祭祀の媒体としての岩石であるが、写真のとおり岩石にも神酒が供えられている。

祈願をかなえる霊性を宿す岩石として一柱の神となった所以だろう。


2026年1月25日

三ッ石(山梨県韮崎市・甲斐市)

山梨県韮崎市穂坂町三ツ澤~甲斐市宇津谷


韮崎市の女夫石を訪れた際、近くの地図に記されていた場所。

「三ッ石」「三ッ石稲荷」の場所案内

畑地の中に、3体の岩石が顔を出している。現地に一切の標示はないが、位置から考えてこれらが三ッ石だと思われる。

道路際から撮影。

2個の岩石が隣り合う。

道路側にもう1個の岩石が存在。

すぐ近くに三ッ石稲荷が鎮まる。
純度100%の地元のためにある神社という趣で、外部に向けての由緒板などは置かれていない。
三ッ石の名を冠するが境内地にあるわけではなく、三ッ石がこの辺りの地名を兼ねるだけの可能性もあるので、岩石との直接の関係性は不明である。

三ッ石稲荷

この地は自治体区分上、韮崎市と甲斐市のちょうど狭間にあり、三ッ石稲荷は韮崎市にあるが、三ッ石自体は甲斐市に入っている様子である。
市制前の時代なら同じ共同体に属す存在だったことは想像に難くない。

現地は高台の尾根上に立地しているため、360度見晴らしがとても良い。三ッ石越しに八ヶ岳を良く遠望できた。

鉄塔の奥に八ヶ岳を遠望


2026年1月17日

愛宕様/愛宕山/庚申山(群馬県みどり市)


群馬県みどり市笠懸町阿左美

 

阿佐美の岩宿に、こんもりと雑木が茂る巨岩があり、岩のあちこちに石祠が祀られ、愛宕様として信仰されている。

『笠懸村誌』別巻 2 (資料編 民俗篇・石造物篇・建造物篇),笠懸村,1983.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9642955 (参照 2025-12-13)



岩山には頂上までのハシゴが掛けられていたが、危険につき立入禁止とあった。

岩宿遺跡が見つかった琴平山(標高196.2m)の東麓、現在は住宅地の合間に隆起する高さ10mほどの岩山を、愛宕様・愛宕山・庚申山などのさまざまな俗称で呼ぶ。

愛宕・庚申以外にも天満宮や熊野三山供養塔などが林立しており、残された石造物はおおむね18~19世紀の造立であることが記年銘などから判明している。

井戸を深く掘らないと水が湧き出にくい岩宿の地において、愛宕山の近くでは水がよく出たという。

かつては10月24日の秋祭りで奉納相撲が行われた。


2026年1月10日

映画に出ます

2026年公開の映画「真人の世界 日本文化のカミ」のお知らせです。

須田真人監督による自主製作映画(非商業映画)です。2時間30分の映画で、章立ては下画像のとおりです。

映画パンフレットより


ドキュメンタリーパートとドラマパートからなる作品とのことで、吉川は当然ながらドキュメンタリーパートで登場します。

映画に出るとはいいますが、たぶん「都祁の国」か「石座のある岩倉」あたりで数秒~数分の場面だと思います(私が奈良市都祁と京都市岩倉を案内しました)。


どんな内容になっているのか、私も作品の全体は知らないので何とも言えませんが、ドキュメンタリーパートの他の出演者の肩書を見るかぎり錚々たる顔ぶれです。さまざまな角度から日本列島のカミを探ろうとした気概気迫が伝わります。

石が一つのキーワードになっているのは間違いありません。岩石信仰について私なりに話せることを話しました。


映画コンテスト出品を目的にされた映画と聞いており、全国どこでも見られる映画ではありません。

2026年2月28日(土)午後に京都市で試写会が催されます。私は仕事中につき見れませんが、当日ご都合がつく方は要事前申込の上で観覧いただけます。

ご興味のある方は下記サイトからご確認、お申込をお願いいたします。


映画公式サイト
https://www.mahito-sekai.net/


2026年1月4日

自然石祭祀遺構の資料化と分析

自然石祭祀遺構のデータ化を進めています。

考古学という物的側面から、自然石信仰を分析できることがまだあるのではないか、あきらめたくないという目的です。

製作途中なので一例を示しますが、座標データをGoogleマップにエクスポートすると下画像のようになります。

Googleマイマップより

1つ1つの事例に「時代」のデータも入力しているので、たとえば時代を絞ると

弥生時代の場合

古墳時代の場合

これは地図情報の見本でしたが、ほかの分析項目(変数)もデータ化しています。

前回の記事で触れた計量分析をかければ、これまで明らかにされなかった傾向が指摘できるのではという見通しを立てています。


自然石祭祀遺構とは何でしょうか?

自然石を祭祀した可能性が指摘されたことのある遺構です。


この名称の厳密さを定めるだけでも紆余曲折がありました。

この手の資料をまとめるのは2004年発表の「岩石に関わる祭祀行為―祭祀を考古学的に研究するために―」以来です。

あの時は岩石祭祀遺構と題して86例をリスト化しました。岩石祭祀遺跡と書かないのは、遺跡と書くと遺物を含み、祭祀用の石製品が出土した遺跡は膨大になるという思いからでした。

次に、岩石祭祀という括りではいわゆる環状列石、石室を構築する古墳・経塚・葬送祭祀、石仏や神像が彫られた石造物などを含みます。

以上の事例を含むと、僅少な自然石信仰の事例は埋もれてしまうでしょう。分析したい対象に注目するための絞り込みが必要でした。それで今回は自然石祭祀遺構としたわけです。


実際に事例を集計していくと、「自然石」の定義も存外奥が深く、考えざるを得ない分岐点が多くありました。その辺は語り出すと長いので研究として大成した時に文章にします。


そのような作業を経て、現時点で145事例を数えます。

2004年の86例より増えました。近年発掘された遺跡も含みますし、20年前と比べて手作業・目視以外で調べられる方法も増えましたので、それらの網羅的総計です。


それでも145事例です。

これは計量分析にかけるにおいて、まだ小規模データと言わざるを得ません。


前記事の議論を踏まえるなら、これを母集団とみなすか標本数とみなすか?

理念的には、これは「かつて存在した自然石祭祀の総体」において「現存した事例を数えたもの」という意味において、標本数とみなすべきでしょう。

とはいえ、これが母集団(存在したすべての自然石祭祀)における無作為抽出かというと疑問符が付きます。さまざまな理由により発掘調査の多かった場所、されにくかった場所から生じる偏りは間違いなくあります。


しかし埋蔵文化財の特性上、そのような限界がなくなり理念どおりにデータが揃う(=無作為に発掘される)時代は来ないと考えます。

ということで、その限界を認めつつ一歩を進める作業となります。

前提として145例を「現存する事例」の母集団と設定すれば、145例中の145例の分析は全数調査と言えます。

(そのうちの縄文・弥生などの「時代」で絞り込みをかけたものは無作為抽出ではないので結局、標本にはなりません)

全数調査は外れ値とも言えるような極端な事例の存在も含み、それを145例という規模で集計すれば凸凹とした事例に左右された分析結果となるでしょう。


それでも、それを明記して提示したいのです。なぜなら、今はそれ以前の「主観の意見表明」の段階を脱していないからです。
(縄文時代の巨石信仰は●●だねとか、古墳時代の磐座は●●県には多い少ないなど)


145例を「過去の歴史の表層に残った断片」と前置きして、定量化した基礎的研究を後世に提示しておくこと自体に意味を置いています。


それにしても、大学卒業と同時に一度手放した考古学の資料と、ここにきて差し向うことになりました。

まだ先の話ですが、困っているのは、これが形になった時に投稿できるような、適した考古学雑誌の縁がとっくにないことです。

私の所属学会が民俗学系と地質学系なので、今回のテーマが両方ともかみ合いません。

今ふりかえれば、お世話になった教授の退官記念論集に掲載するチャンスが数年前ありましたが、その時は研究のタイミングが合わず見送りました(記紀風土記と設楽町の研究中でした)。

考古学関係で良い投稿先がございましたらご紹介お待ちしています。


分析結果がどのクオリティになるかで、論文なのか研究ノートレベルなのかブログレベルでいいのかも、まだわかりません。

ただ、ブログの内容は私が死ぬ前に本にするつもりなので、まずはブログ以外の場所で残しておきたいです。

AI全盛とSNS時代の今、このブログ埋もれがちですし…


良い投稿先が見当たらなければ、実験的にAmazonのKDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)も視野に入れます。

私はAmazonに著者セントラルというページも持っていますし、KDPで論文や雑誌を発表されている実績も知っているので、選択肢の一つとして十分です。最終的に形にできる場所は確保できそうなので、後は分析作業を進めていこうと思います。


しばらくこの作業(統計学の学習と並行)に没頭するため、ブログの投稿数に影響する見通しです。

存在感がなくなりますが、やることはやっているので陰ながらお見守りいただき、ときどき様子を見にご訪問いただけましたら幸いです。