岩石信仰の研究

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目次
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岩石信仰の研究領域の提唱

「岩石信仰」という研究領域を提示・普及する活動を続けています。
私は歴史学的な立場から追究していますが、文学・宗教学・心理学・哲学・美術学・地質学・神経科学ほか、さまざまな角度からアプローチ可能な分野です。

発表済
  • 『岩石を信仰していた日本人―石神・磐座・磐境・奇岩・巨石と呼ばれるものの研究―』
    …2011年発表(遊タイム出版刊 319頁)。岩石信仰に関する研究史の整理、概念規定、分類案の作成などの基礎的作業をひととおり実施。手始めの書。

  • 「岩石信仰研究の視点」
    …『変動帯の文化地質学』(京都大学学術出版会 2024年)pp157-173に収録。2011年の拙著から約10年のふりかえりと、初学者に向けての観察方法、歴史概説、各種論点の提示。

  • 失われし岩石・巨石信仰。畏れと期待、その世界観とは。吉川宗明氏インタビュー
    …webメディア「Less is More. 」で掲載された2024年のインタビュー記事。私および岩石信仰の世界を知っていただける、名刺代わりの文章となっています。どうぞご覧ください。

岩石信仰の起源に関する研究

旧石器時代~古墳時代の岩石信仰の有無と歴史の流れの解明。これを私の人生をかけた研究テーマとしています。

発表済

自然石文化(自然石に関する文化・歴史)の研究

岩石を人工的に加工・設置して利用する生活と対置して、岩石を自然の形のまま様々な場面で用いる生活様式を自然石文化と呼びます。提唱者の故・佐藤観石氏は水石(鑑賞石)の文脈で取り上げていましたが、岩石信仰の分野においても特に自然石信仰を考える時に有用な概念です。

発表済

石神・磐座・磐境・巨石などの概念研究

「磐座」を聖なる石の信仰の総称として使うのは歴史学的に誤りがあるのでやめよう、ということを2003年頃から言い続けていますが、この業界でもこれを言っているのは私ぐらいで、孤軍奮闘中です。解像度を高めてこの世界が正確な俎上に載る日を待つばかりです。

発表済

「巨石遺構」説に対する批判的研究

いわゆる「巨石」「磐座」を、縄文時代の人々が人工的に造った遺跡とみなす人々がいますが、私がみるかぎりそれらのほとんどは考古学的・地質学的な裏付けを経て述べられたものではありません。
歴史的なものを研究する時は、必ずその資料の批判、資料を取り扱う自分自身への批判を行う必要があります。

発表済
  • 「愛知県設楽町における岩石信仰の地質学的検証」 ※pdf公開
    …『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第41号(2024年)pp.33-49に収録。地質学者の鈴木寿志氏との共著です。あの巨石は人工物で巨石文化の遺産――などの言説に出会ったら、本論文を使って釘を刺していただければ幸いです。

  • 古代人は巨石をどのように運んだのですか?
    …ブログ記事。岩石の成因を地学的に学ぶこと、古地磁気調査の取り扱いの注意点、岩石における磁気異常の原因説明、巨石運搬の証明方法など。

人が岩石を見た時、接した時の心理的反応

人はなぜ岩石に惹かれ、時に、岩石を神仏として信仰するにいたったのか。
これは最終的に心理学・脳神経科学の協力なしには解明にならないと私は考えていますが、まずは先人たちが残した哲学・詩・随筆から見えてくるものがあると信じて勉強中です。

発表済
  • 岩石の哲学
    …岩石と哲学に関する文献を本ブログで取り上げて、このコーナーでまとめています。

連載

2017年から年に2回のペースで、四日市市文化協会(三重県四日市市)の雑誌『パッション』において「路傍の自然石考」と題したコラムを連載しています。直近数号分はpdf公開されています。冊子体は四日市市文化会館で無料頒布しています。

発表済
  • 路傍の自然石考① 東海道の夫婦石/妻夫石/妋石(上)
  • 路傍の自然石考② 東海道の夫婦石/妻夫石/妋石(下)
  • 路傍の自然石考③ ゆうれい石に宿るものはなに?
  • 路傍の自然石考④ サンゴジさんをご存知だろうか
  • 路傍の自然石考⑤ 内部の「なぞの石神」は現存した
  • 路傍の自然石考⑥ 四日市の「おもかる石」信仰
  • 路傍の自然石考⑦ 四日市の二つの「なぜ石」
  • 路傍の自然石考⑧ ヤマトタケルの「血の石」
  • 路傍の自然石考⑨ 桜町の山の神と疱瘡さん
  • 路傍の自然石考⑩ 三つの夜泣き石の今
  • 路傍の自然石考⑪ 切腹石
  • 路傍の自然石考⑫ 二〇二二年「自然石」ニュース
  • 路傍の自然石考⑬ 映画「君たちはどう生きるか」に登場した石
  • 路傍の自然石考⑭ 岩石の終了

講演・講義

私個人は喋りより書きのほうがお役立ちできる人間だと自己評価していますが、岩石信仰のテーマであればご依頼内容によって承ります。私の仕事の都合上、休日は日曜・月曜ですので依頼日の参考となさってください。

発表済
  • 岩石信仰と歴史観(2016年)
    …立命館大学文学部教養科目「歴史観の形成」で講義

  • 岩石に神はどのように宿り、宿らなかったか―『古事記』『日本書紀』『風土記』を例に― (2020年)
    …文化地質研究会主催オンライン講演

  • 代表的な事例からみる日本の岩石信仰(2022年)
    …国際日本文化研究センター共同研究会「日本文化の地質学的特質」招待講演

  • 岩石信仰の歴史を、旧石器時代から現代まで(2022年)
    …「鹿児島磨崖仏巡礼vol.5 ―岩石信仰と磨崖仏―」招待講演

フィールドワーク

特定のフィールドに根差して継続的に活動しないと見えてこないものは多いと考えて、生業に影響が出ない程度ではありますがフィールドワークをおこなっています。

調査地

  •  2019年~2023年 愛知県北設楽郡設楽町調査
    …設楽町の調査を通して、とりわけ自然石にまつわる信仰文化が現在進行形で失われていることが浮き彫りとなった。神聖視・特別視された自然石も文化財であるという「自然石文化財」の視点を提示。調査結果は前掲「愛知県北設楽郡設楽町(旧名倉村域)における自然石の文化財」(2023年)において発表。

  • 岩石祭祀事例集成表 ※Excel公開(.xls形式)
    …青森県~鹿児島県の岩石祭祀事例をExcelファイルにまとめました。2011年時点で、総集成数2187事例、岩石祭祀事例認定数1110事例を集成。拙著『岩石を信仰していた日本人』(2011年)の論拠となるデータです。
    ※2016年3月2日改訂のver.2を公開しています。

  • 岩石祭祀事例レポート
    …探訪した岩石信仰の地は、本ブログで記事として随時公開しています。