イワクラ(磐座)学会が2025年4月末に閉会することを知りました。
理事の平津豊氏のFacebookの投稿で詳細経緯を見ましたが、学究をつきつめていくことで組織・団体内の制御不能な膨張に悩まれていたのだと拝察します。
「岩石があると何でも『イワクラ』だと言い出す人が非常に増えた」のくだりはおっしゃるとおりですが、これはイワクラ学会が始まる前からよく見た現象であり、人の性のようなものと受け止めています。
今後も関係ないところで何度も同じ発想の繰り返しが生まれていくものと思われ、そういうインフルエンサーや社会の空気とある種併存して、学術活動は粛々と地道にやっていくほかありません。
学会活動もそういう地道なものを背負うものです。たとえば私は長らく、イワクラ学会にイワクラの保存活動(物理的保存・記録的保存)を期待していました。
HPや会報などでそのような視点の活動も見かけることがありましたが断片的・枝葉的であり、今回の閉会により途上で終わり、HPも存続しなければ再び散逸となるでしょう。
イワクラの文化財上の立ち位置の脆弱さ(=自然石として消滅しやすい性質)を考えれば、会員各個人の関心を差し置いても、さらに優先的に取り組まれればと。
個人では太刀打ちできない組織力によって、学会の歴史上の存在感もより一層だっただろうと思いますが――本当に外部から勝手なことを思っているだけでした。
かつて会員の方からお誘いを受けたこともありましたが。私は気にしいなので研究に心理忖度の余地は入れたくないと思い、自由勝手気ままにさせていただきたく、結果的に入会することはありませんでした。
創立以来変わらず会長の渡辺豊和氏の思想強く、外から見るかぎり個人組織・個人誌感が否めなかったのもあります。
理事の高木寛治氏、江頭務氏などの路線であれば、また異なる「イワクラ」観が社会に浸透したかもしれません。
とはいえ、イワクラ学会の活動の延長線上で設立された日本天文考古学会で今後研究が進展していくのだと思います。
学会名称から、岩石以外の天文考古学に軸足を移していかないとならないことは自明と思われますが、考古天文学会議を主催する北條芳隆氏など、本職の考古学者との協業が進めば学術的な未来が見えてきそうだと楽しみに受け止めています。
天文学を中心に据えて、理系分野の方々が多いと拝察するので、文系歴史学にカウンターを食らわす学際の嚆矢になることを期待しています。
ただし、文系歴史学の知の蓄積も半端なく、門外漢がいっちょ噛みすると大やけどします。お互い敬意を持って協業できる将来を願います。
私も文系という限界の中で自分にできる研究をしてまいりますが、自分の問題意識の延長線上でご教授を乞う日がいつか来るでしょう。