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2026年7月12日

NHK松山放送局「ひめDON!」出演のお知らせ

NHK松山放送局の制作番組「ひめDON!」で、愛媛県大洲市の粟島神社が取り上げられます。

「巨石の上の神社」ということで取材協力いたしました。

制作の方々には文献調査なども精力的に取り組んでいただきました。おそらく従来の粟島神社の評価から一歩進んだ最新情報を提示できているのではないかと思います。


愛媛ミステリー〜巨石の上の神社〜 | ひめDON!


  • 放送日:7月17日(金)19:30~19:57
  • 放送局:NHK松山放送局(愛媛県内のみ放送)
  • 後日配信:NHK ONEで放送後1週間配信(NHK ONE契約者は視聴可能)


視聴方法が限られていますがよろしくお願いします。

2026年6月28日

Google広告の自動最適化をオフにしました

6月27日からGoogleが Ad intents という自動広告を当サイトへ掲載してきました。

検索バーのような形の広告が、サイト画面上に表示されるタイプです。

試しにリンク先を踏んでみたら、ブラウザがウイルスに侵入されました系の詐欺サイトへ誘導を食らいました。


そこで即、この Ad intents が掲載されないように対応完了したことをお知らせします。

なお、簡単に掲載オフできず多少勉強しました。試行錯誤したため、同じく悩まされているサイト管理人の方々に向けて以下対応方法を記しておきます。


対応したこと

  1. GoogleAdsense管理画面の「最適化」タブ→「テスト」タブ内に Ad intents が6月27日から自動作成・自動配信していることを確認(Googleがどんな広告が良いかというテストを自動的にしている)
  2. Ad intents のステータスを「オリジナル」に選択することでテストを停止。
  3. 今後、Googleが勝手にサイト内に自動広告を新規に作らないように、「広告」タブ→「サイトごと」→右端「編集」ボタン→「自動最適化」タブ→自動最適化を「オフ」


Googleに限りませんが、こんな詐欺サイト広告を承認して、自動で広告配信する時代はつくづく狂っていますね。
(しかも、掲載オフがやりにくいように設計されている)

私の目が黒いうちは、このようなユーザーエクスペリエンスを侵害するような広告設定は手動でオフにし続けていきます。

広告業者も毎日増殖していて、いたちごっこに際限はありません。完璧に防ぐことはできないかもしれませんが、当ブログ記事が読みやすいように良心的なサイト運用を心がけています。


本サイトの広告ポリシーについて

本サイトでは、ページごとにウインドウが出てくるようなオーバーレイ広告・全画面広告を閲覧の邪魔と考え、管理者権限で非表示設定としています。その分、ページの脇に表示されている広告(Google AdSense)をクリックいただきますと当サイト管理人に些少の謝礼が入りますので、当サイト運営継続のために応援をいただけますと幸甚です。


2026年4月24日

[発売日宣伝]『自然石祭祀遺構の基礎的研究―巨石遺跡・磐座遺跡の時代を越えて―』

本日発売されました。


Kindle版はこちらから

(Kindle Unlimitedに登録の方は無料で読めます)

https://amzn.to/4uceXRb


ペーパーバック版はこちらから

(紙書籍版)

https://amzn.to/4uckxTH


電子書籍版の商品ページでは全体の1割ほどサンプルを読めます。

序盤のツカミが結構読めますので、こちらで購入に値するかご判断いただければ幸いです。


2026年4月19日

収録図表紹介『自然石祭祀遺構の基礎的研究―巨石遺跡・磐座遺跡の時代を越えて―』

商品ページにサンプル画像が公開されました。


資料性の高い文献を目指して、図・表も豊富に用意しました。

巻末付表


  • 第1表 自然石祭祀遺構データ
  • 第2表 分析項目の割合
  • 第3表 算出された割合に対する各事例数の誤差範囲
  • 第4表 「岩塊」分割表
  • 第5表 「岩群」分割表
  • 第6表 「岩山」分割表
  • 第7表 「洞穴」分割表
  • 第8表 「凹」分割表
  • 第9表 「人為性」分割表
  • 第10表 「配石遺構」分割表
  • 第11表 「地中」分割表
  • 第12表 「地表」分割表
  • 第13表 「石の上」分割表
  • 第14表 「石の下」分割表
  • 第15表 「石の間」分割表
  • 第16表 「石の周囲」分割表
  • 第17表 「山裾」分割表
  • 第18表 「山腹」分割表
  • 第19表 「山頂」分割表
  • 第20表 「尾根上」分割表
  • 第21表 「谷間」分割表
  • 第22表 「島嶼」分割表
  • 第23表 「海辺」分割表
  • 第24表 「川」分割表
  • 第25表 「経塚」分割表
  • 第26表 「建物跡」分割表
  • 第27表 「墓」分割表
  • 第28表 「寺社」分割表
  • 第29表 「城郭」分割表
  • 第30表 「鉱物」分割表
  • 第31表 「壇状整形」分割表
  • 第32表 「土坑」分割表
  • 第33表 「破損」分割表
  • 第34表 「底部穿孔」分割表
  • 第35表 「焼け跡」分割表
  • 第36表 「神聖視」分割表
  • 第37表 「特別視」分割表
  • 第38表 「岩相」単語登場頻度表
  • 第39表 「岩種」単語登場頻度表
  • 巻末付表


  • 第1図 現地撮影写真
  • 第2図 自然石祭祀遺構分布図
  • 第3図 縄文時代遺構分布図
  • 第4図 弥生時代遺構分布図
  • 第5図 古墳時代遺構分布図
  • 第6図 古代遺構分布図
  • 第7図 中世遺構分布図
  • 第8図 近世以降遺構分布図
  • 第9図 各時代の遺物構成
  • 第10図 地質図上の自然石祭祀遺構分布図


商品ページには過去作のリストも掲示しています。

この機会に併せてお見知りおきください。


2026年4月13日

見本紹介『自然石祭祀遺構の基礎的研究―巨石遺跡・磐座遺跡の時代を越えて―』

新刊の宣伝が続きますがご容赦ください。

校正刷り見本が届きました。

中心に再販禁止の帯が入っています。実物にこの帯は入っていません。

本文100頁の小冊子ですが、背表紙にタイトルを印字できるくらいの分厚さはあります。

約5万字で、論文としてはそれなりのボリュームとなりました。

オール白黒印刷の論文抜き刷りのようなものをご想像いただければと思います。

ただし、表紙を光沢なしにしていましたが、ホコリのつきやすそうな手触りで手指もベタっとしやすいと感じました。仕様を光沢ありに変えることにします。


巻頭文を掲載。こんなテイストです。読めますでしょうか。
電子版では文末脚注でしたが、閲覧性を考えてページごとに脚注を掲載するようにしました。


資料性抜群だと思います。
まじめに岩石信仰を考えてみたい方、必携です。
いつものことですが、こんなのあったらいいなあと私が思う本を目指しました。

販売前につき本文にはモザイクをかけましたが、左のページと右のページでボリュームが異なるのがわかるでしょうか。

元は電子書籍のため、図版の挿入位置や文章の改行の位置が綺麗ではないところもあります。ですが、できるかぎり見やすい(文章と図版が一致する)ようにした結果です。


ここから細かい修正を行い、予定どおり4月24日に電子書籍版・ペーパーバック版の両方を販売予定です。

ペーパーバック版をお求めの方は予約ができませんので、発売日まで購入ページをお待ちください。


2026年4月6日

『自然石祭祀遺構の基礎的研究―巨石遺跡・磐座遺跡の時代を越えて―』電子書籍版予約開始しました

新刊のお知らせです。

――内容紹介――

原始宗教の痕跡とされてきた巨石遺跡・磐座遺跡は真に祭祀遺跡と言えるか。これまで日本列島で確認されてきた自然石祭祀遺構を分布・統計・地質面から精査し、従来の通説を見直す。読者特典として「自然石祭祀遺構データ」ダウンロードキーが付属。

※本書をページ番号指定して引用する場合は、電子書籍版ではなく同日発売予定のペーパーバック(紙書籍)版の購入をお薦めします。


――目次――

第1章 はじめに
 第1節 問題の所在
 第2節 数と量の不在

第2章 自然石祭祀遺構の定義
 第1節 遺跡・遺構・遺物
 第2節 自然石の混沌性

第3章 自然石祭祀遺構のデータ
 第1節 事例の収集方法とデータの公表方法
 第2節 データの概要
 第3節 除外された事例群

第4章 地図上の分布と傾向

第5章 分析方法とその限界
 第1節 統計的前提
 第2節 統計検定の採用
 第3節 データの入力基準

第6章 分析結果
 第1節 集計表の割合から
 第2節 検定の実施と評価
  岩石の形状に関して
  自然石における人為性に関して
  遺構発見状況に関して
  遺物発見状況に関して
  山岳立地に関して
  地形要素に関して
  周辺の自然物・遺跡・施設に関して
  遺構・遺物面の各要素に関して
  岩石に対する認識に関して
 第3節 遺物構成
 第4節 地質情報

第7章 数量的分析から定性的に記述できること

第8章 おわりに

巻末付表


2026年4月24日発売。今作は Amazon Kindle 上での発売としました。

KindleはAmazonの電子書籍ですが、あわせて紙書籍版(ペーパーバック)も作りました。


Kindle Unlimited 対象の書籍ですので、サブスク登録されている方は発売日以降になったら購入せずに読めます。

Kindleを使わない方は紙書籍版をお求めください。


元は論文として書き始めましたが、論文としては長すぎて、本としては100ページの小冊子です。

価格もそれに合わせましたが、Amazon側の印刷コストと最低販売単価があるので、赤字にならない程度の価格で設定させていただきました。

※電子書籍版660円(税込)

※ペーパーバック版1,210円(税込)…B5判の論文抜刷のようなものとお考えください。


肝心の内容ですが――歴史的な刺激に満ちた、面白い内容になったと思います。

上の内容紹介と目次でご想像いただければ幸いです。


注文先はこちら↓


2026年3月28日

2026年3月21日

拙論が論文賞の表彰を受けました

 『地質と文化』第5巻第1号(2022年)に投稿した、

「『古事記』『日本書紀』『風土記』は岩石をどう記したか ―奈良時代以前の岩石信仰と祭祀遺跡研究に資するために―」

が文化地質研究会論文賞を受賞しました。


今後も研鑽に努めます。

本論文はpdf公開されております。下のURLからどうぞ。

『地質と文化』第5巻第1号pdf(拙論はpp.1-71です)


2026年1月10日

映画に出ます

2026年公開の映画「真人の世界 日本文化のカミ」のお知らせです。

須田真人監督による自主製作映画(非商業映画)です。2時間30分の映画で、章立ては下画像のとおりです。

映画パンフレットより


ドキュメンタリーパートとドラマパートからなる作品とのことで、吉川は当然ながらドキュメンタリーパートで登場します。

映画に出るとはいいますが、たぶん「都祁の国」か「石座のある岩倉」あたりで数秒~数分の場面だと思います(私が奈良市都祁と京都市岩倉を案内しました)。


どんな内容になっているのか、私も作品の全体は知らないので何とも言えませんが、ドキュメンタリーパートの他の出演者の肩書を見るかぎり錚々たる顔ぶれです。さまざまな角度から日本列島のカミを探ろうとした気概気迫が伝わります。

石が一つのキーワードになっているのは間違いありません。岩石信仰について私なりに話せることを話しました。


映画コンテスト出品を目的にされた映画と聞いており、全国どこでも見られる映画ではありません。

2026年2月28日(土)午後に京都市で試写会が催されます。私は仕事中につき見れませんが、当日ご都合がつく方は要事前申込の上で観覧いただけます。

ご興味のある方は下記サイトからご確認、お申込をお願いいたします。


映画公式サイト
https://www.mahito-sekai.net/


2026年1月4日

自然石祭祀遺構の資料化と分析

自然石祭祀遺構のデータ化を進めています。

考古学という物的側面から、自然石信仰を分析できることがまだあるのではないか、あきらめたくないという目的です。

製作途中なので一例を示しますが、座標データをGoogleマップにエクスポートすると下画像のようになります。

Googleマイマップより

1つ1つの事例に「時代」のデータも入力しているので、たとえば時代を絞ると

弥生時代の場合

古墳時代の場合

これは地図情報の見本でしたが、ほかの分析項目(変数)もデータ化しています。

前回の記事で触れた計量分析をかければ、これまで明らかにされなかった傾向が指摘できるのではという見通しを立てています。


自然石祭祀遺構とは何でしょうか?

自然石を祭祀した可能性が指摘されたことのある遺構です。


この名称の厳密さを定めるだけでも紆余曲折がありました。

この手の資料をまとめるのは2004年発表の「岩石に関わる祭祀行為―祭祀を考古学的に研究するために―」以来です。

あの時は岩石祭祀遺構と題して86例をリスト化しました。岩石祭祀遺跡と書かないのは、遺跡と書くと遺物を含み、祭祀用の石製品が出土した遺跡は膨大になるという思いからでした。

次に、岩石祭祀という括りではいわゆる環状列石、石室を構築する古墳・経塚・葬送祭祀、石仏や神像が彫られた石造物などを含みます。

以上の事例を含むと、僅少な自然石信仰の事例は埋もれてしまうでしょう。分析したい対象に注目するための絞り込みが必要でした。それで今回は自然石祭祀遺構としたわけです。


実際に事例を集計していくと、「自然石」の定義も存外奥が深く、考えざるを得ない分岐点が多くありました。その辺は語り出すと長いので研究として大成した時に文章にします。


そのような作業を経て、現時点で145事例を数えます。

2004年の86例より増えました。近年発掘された遺跡も含みますし、20年前と比べて手作業・目視以外で調べられる方法も増えましたので、それらの網羅的総計です。


それでも145事例です。

これは計量分析にかけるにおいて、まだ小規模データと言わざるを得ません。


前記事の議論を踏まえるなら、これを母集団とみなすか標本数とみなすか?

理念的には、これは「かつて存在した自然石祭祀の総体」において「現存した事例を数えたもの」という意味において、標本数とみなすべきでしょう。

とはいえ、これが母集団(存在したすべての自然石祭祀)における無作為抽出かというと疑問符が付きます。さまざまな理由により発掘調査の多かった場所、されにくかった場所から生じる偏りは間違いなくあります。


しかし埋蔵文化財の特性上、そのような限界がなくなり理念どおりにデータが揃う(=無作為に発掘される)時代は来ないと考えます。

ということで、その限界を認めつつ一歩を進める作業となります。

前提として145例を「現存する事例」の母集団と設定すれば、145例中の145例の分析は全数調査と言えます。

(そのうちの縄文・弥生などの「時代」で絞り込みをかけたものは無作為抽出ではないので結局、標本にはなりません)

全数調査は外れ値とも言えるような極端な事例の存在も含み、それを145例という規模で集計すれば凸凹とした事例に左右された分析結果となるでしょう。


それでも、それを明記して提示したいのです。なぜなら、今はそれ以前の「主観の意見表明」の段階を脱していないからです。
(縄文時代の巨石信仰は●●だねとか、古墳時代の磐座は●●県には多い少ないなど)


145例を「過去の歴史の表層に残った断片」と前置きして、定量化した基礎的研究を後世に提示しておくこと自体に意味を置いています。


それにしても、大学卒業と同時に一度手放した考古学の資料と、ここにきて差し向うことになりました。

まだ先の話ですが、困っているのは、これが形になった時に投稿できるような、適した考古学雑誌の縁がとっくにないことです。

私の所属学会が民俗学系と地質学系なので、今回のテーマが両方ともかみ合いません。

今ふりかえれば、お世話になった教授の退官記念論集に掲載するチャンスが数年前ありましたが、その時は研究のタイミングが合わず見送りました(記紀風土記と設楽町の研究中でした)。

考古学関係で良い投稿先がございましたらご紹介お待ちしています。


分析結果がどのクオリティになるかで、論文なのか研究ノートレベルなのかブログレベルでいいのかも、まだわかりません。

ただ、ブログの内容は私が死ぬ前に本にするつもりなので、まずはブログ以外の場所で残しておきたいです。

AI全盛とSNS時代の今、このブログ埋もれがちですし…


良い投稿先が見当たらなければ、実験的にAmazonのKDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)も視野に入れます。

私はAmazonに著者セントラルというページも持っていますし、KDPで論文や雑誌を発表されている実績も知っているので、選択肢の一つとして十分です。最終的に形にできる場所は確保できそうなので、後は分析作業を進めていこうと思います。


しばらくこの作業(統計学の学習と並行)に没頭するため、ブログの投稿数に影響する見通しです。

存在感がなくなりますが、やることはやっているので陰ながらお見守りいただき、ときどき様子を見にご訪問いただけましたら幸いです。


2025年10月5日

2025年9月6日

野崎島王位石自然成因説

テレビ東京9月5日放送番組「所でナンじゃこりゃ!?」の「王位石」のコーナーで取材協力しました。


王位石(おえいし)は、長崎県北松浦郡小値賀町の野崎島にある巨岩で、これが人工的に造られた構造物か自然の地形なのかという依頼でした。

王位石は巨石業界でも有名ですから存在を知っていましたが、私は現地に行ったことがありません。その時点で専門家として噴飯物だと思っていますが、自然説も人工説も適した人が見つからないということでお鉢が回ってきました。

人工説の方もいないんでしょうか。だれか地質畑の方かイワクラ巨石専門家の方、取材を受けてください…。


私は歴史系なので地質系の石は専門外ですと断りを入れたうえで、キュレーターという立場で回答させていただきました。その分、王位石を巡る諸説を調べて正確な情報を提供したつもりです。

実際の取材では約1時間30分話しました。放送では約1分に編集されています。

いろいろ語弊があると嫌なので、ここで補足説明させてください。


取材の打ち合わせ時、想定される質問を事前にいただいていたので、私がその時作成したメモ(回答集)をこちらに掲載いたします。

放送で実際に使われた部分を青字で表示しましたので、それでご理解を賜れば幸いです。


質問1「王位石は岩石信仰なのでしょうか?」

王位石は「生石」「湧出光明神」の異名をもち、石が生まれる、生長する石という信仰を有することから、岩石信仰の中でも「石神」(石そのものを神とする信仰)と呼ばれる種類に属する事例と思われます。

野崎島の沖ノ神島神社(沖津宮)と対岸・小値賀島の地ノ神島神社(辺津宮)を合わせて神島神社と呼ばれてきたので、野崎島のみならず近在の島々・島民にとっての聖地だったと思われます。


また、この在り方は沖ノ島の宗像大社における沖津宮・中津宮・辺津宮の考えと類似するものがあります。

沖ノ島では国家単位での祭祀の場として古墳時代以降の遺跡が見つかっていて、神島神社の神宝にも古墳時代の鉄剣がありましたので、野崎島の王位石も古墳時代以降に国家的な聖地としての位置づけもあったかもしれません(ただし王位石からは祭祀遺物は見つかっていません)。


質問2「王位石は自然にできたのか人工的なのか、どちらでしょうか?」

地質学の分野では、自然成因で説明可能といわれています。

であるとするならば、人工説が明確な証拠を出せない限り、私は自然成因説を支持します。


たとえば人工説には、岩の柱の上に笠石を置く方法としてこういう仮説があります。

岩の柱の後ろの隙間に盛り土をして、その盛り土の上で石を転がして岩の柱の上に乗せ、その後、盛り土を除去したという仮説です。

ならば、盛り土をして、その盛り土を撤去した作業の痕跡を証明する必要があります。それだけの大工事なら、土の乱れが地層として残っているかもしれません。

不用意に発掘調査はできませんが、地層を分析すればそれが自然の積み重なりなのか、人為的な攪乱がみられるのかなどの判断ができるかもしれません。しかし、現状としてそのような証拠はありません。

人工の手があるかないかですから、ある側に立つ人工説側が証拠を提示する必要があります。それがない限りは、自然成因説に立つのが科学的な姿勢だと思います。


また、大事なこととして技術力の証明がほしいです。

王位石をどの時代の構造物で想定するかによりますが、仮に縄文時代や弥生時代とするなら、金属器による工具がほとんどない時代ですから、そんな時代にそのような規模や技術力をもつ遺跡が他にもあるのかということです。こういう遺跡や遺物があるから、こういう規模の技術が可能だったと言える、というような。

できるかぎり考古学的に証明された遺跡で候補を挙げないと、王位石だけが突然変異のような扱いになり、それは非現実的で、その時代・文化の中で生まれたという説得力のある遺跡とは言えなくなるでしょう。

そういう意味では、人工説を唱える方に今挙げた課題を解明していただきたいと思っています。人工説を否定したいのではなく、説得されるのを待っているという立場です。


質問3「王位石の成り立ちを教えてください」

王位石は溶結凝灰岩とみなされています。

これは火山活動により生まれた岩石で、冷え固まった時に体積が小さくなって、その時に節理と言われる隙間が生まれます。

溶結凝灰岩の場合は柱状節理といって、柱のような形に風化・浸食していく節理があるそうです。


王位石の周りは森に覆われているので王位石だけがそこにあるように見えますが、島にはあちこちに岩盤が露出していて、野崎島の海中にも同じような柱状の岩石があるという話もあります(小値賀町郷土誌)。

このように王位石の岩の柱の群れは、元は一つの岩盤で、それが亀裂や風化を起こして、今は柱を複数立てたように見える自然の構造物と言えます。


では、岩の柱の上に横渡しになっている笠石はどうなのかというと、これも地質学的には自然成因で説明がなされています。

岩の柱のうちの1本が途中で折れて横倒しになったという説と、山の上から転がってきた岩石がここで止まったという説です。

笠石が乗る2つの立柱は左右で高さが異なり、それを埋めるように別の岩石が挟まっています。ここに人為性を感じる向きもあると思いますが、そもそも人工的にゼロから石を立てて上に笠石を安定的に乗せたいのであれば、左右の立柱の高さを揃えるものではないでしょうか。人工的という割にはそこに規格的な人為性が徹底されていないのも、自然成因である由縁と考えます。


質問4「石の上に石が乗るという偶然が起こるのでしょうか?」

王位石は山頂じゃなくて山腹にあるんですよね。ここがポイントだと思います。

日本列島の各地で、そのような別の石が乗っかった地形を挙げることができます。

  • 三重県の御在所岳にある地蔵岩
  • 岩手県遠野市の続石
  • 長崎県時津町の鯖くさらかし岩

いずれも山腹にあります。


これらは現状を見ると、下から上に積んだように見えますが、造山活動が起こる前は、もともとは岩石の頂面に地表面があったと考えると良いと思います。

その時代に上の斜面から別の岩石が転がって、下の岩盤にぶつかって止まった。その後、長い時間を経て周囲の脆い地形が削れていって、地中に埋まっていた岩盤が露出すると、結果として積み重なったように見えるということです。


質問5「王位石の前では方位磁石が狂うという話がありますがなぜでしょうか?」

高い木には雷が落ちるといいますが、同じように、高い所にそびえる岩や石にも雷が落ちやすいです。

雷が岩石に落ちると、その場所に本来あった地磁気に影響をおよぼして、岩石自体の磁性も変化するというケースが確認されています。


だから、山の中の岩石に近づくと方位磁石が狂う、不思議なパワースポットだという話を聞きますが、自然というものは常に安定しているものではなく、こういった雷などの日々の現象で環境変化するものとも言えます。

ですので、方位磁針が狂うのもある種当然で自然な現象だと私は受け止めています。

王位石はとりわけ立柱状にそびえる巨大構造物ですので、落雷が落ちやすいと思われます。雷が落ちた直後などに行くと、特に方位磁針は狂うのではないでしょうか。


私個人が注目しているのは、その現象自体が不思議ということではなく、そのような自然現象によって人間が不思議がったり、もしかしたらそのような磁気異常に無意識に影響を受けて、特殊な感情や精神状態が生まれるというヒトのメカニズムです。

そういった、ヒトの心理に影響を及ぼす条件がそろった自然環境というものが、人が聖地として崇めるようになった一因になったのかもしれません。


※番組放送では王位石の磁場が狂うという謎も取り上げられていましたが、私の回答はカットされていたので、磁場の謎は宙に浮いたまま番組終了しました。1分・1秒を大事にする番組編集のタイトさを感じましたが、このように色々話していましたのでフォローに代えさせてください。


出典

王位石についてはすでにいくつかの知見があります。今回の私の回答は下記ソースを紹介したものです。

  • 近藤忠・山口要八「野崎島巨石遺跡の紹介(長崎県北松浦郡小値賀町野崎郷のドルメン)」『考古学雑誌』第37巻第4号 1951年
  • 小値賀町郷土誌編纂委員会 編『小値賀町郷土誌』,小値賀町教育委員会,1978.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9773094 (参照 2025-09-06)
  • 本馬貞夫「神嶋神社と野崎島」(2020年2月4日中日新聞朝刊)
  • フジテレビ2023年8月2日放送番組「林修のニッポンドリル」における出水亨氏のコメント(Xに参考動画あり


2025年9月1日

TV出演のお知らせ(2025.9.5)

2025年9月5日(金) 19時25分~21時54分、テレビ東京系列「所でナンじゃこりゃ!?」に取材コメント放送予定(1分ほど?)です。

番組内容は番組ホームページの告知にてご覧ください。

「野崎島」のパートで出演予定です。


番組ホームページ
https://www.tv-tokyo.co.jp/broad_tvtokyo/program/detail/202509/23083_202509051925.html


2025年5月17日

「日本列島の自然石文化と岩石の信仰」オンライン参加方法

本イベントは終了しました


―――

先日お知らせした

日本地球惑星科学連合(JpGU)2025年大会でポスター発表を行います

このポスター発表について、予稿集と参加方法が発表されたのでご案内いたします。


予稿集より


日本列島の自然石文化と岩石の信仰

吉川宗明

キーワード:自然石文化、岩石信仰、磐座、巨石、鑑賞石


人が岩石をどのように利用したかではなく、人が岩石に接してどのように感じたかに注目したい。

自然に存在する岩石に影響を受けて生まれた文化を自然石文化と呼ぶ。その一つの極致が、岩石を神や仏、精霊としてあがめるなどの岩石信仰である。自然石のまま信仰する場合もあるが、場所だけ動かして並べたり積んだりして祭りをする場合もある。また、場所は移動しないが自然の岩肌に図像や字を刻んで拝む場合もある。もちろん、石材として完全に切り出して整形したうえで成立した信仰もある。

岩石にどれだけ手を入れたかという違いはあるが、これらはすべて、岩石が露出した時の自然の姿に対して抱いた心理の差とも言える。一方で、自然石を見て石材として用いない選択をした心理や、神仏として崇めるにいたらなかった心理、そもそも岩石を意識することなく放置したという心理のありかたも存在する。岩石と一言でまとめても、自然石のありかたによって人の感受性には多様性が認められる。

本発表では、磐座や巨石信仰と通俗的に呼ばれる岩石から、そのような用語では当てはまらない数々の岩石信仰の事例も紹介して、岩石信仰の領域の理解につなげる。さらに、自然石に美を見出した水石や庭石などの鑑賞石、聖でも美でもない民話のキャラクターとして登場する岩石など、自然石文化の裾野の広がりも明らかにする。

人間と岩石の精神的な関係は、さまざまな学問において分析されるべきテーマということが伝わる発表を目指す。


大会サイト:日本地球惑星科学連合(JpGU)2025年大会

発表日時・場所


■ 発表日時
2025年5月25日(日) 9:00~19:15

※JpGU大会の会期は2025年5月25日(日)~30日(金)ですが、5月25日のみパブリックセッションデー(一般公開日)として一般向けのパブリックセッションが用意されています。パブリックセッションは事前登録の上で無料参加・観覧ができます。
吉川の発表はパブリックセッションで、地学関係者に限らず一般の方向けにポスター掲示を行います。

■ ポスター実物掲示会場 
幕張メッセ国際展示場 7・8ホール
※入場には事前登録が必要

■ オンライン掲示URL
オンライン上のポスター掲示サイト「Confit」
https://confit.atlas.jp/guide/event/jpgu2025/subject/O05-P02/detail
※ログインには5月24日までの事前登録が必要

吉川はオンライン参加ですので現地会場にはいません。
ポスターはConfit上でいつでも観覧できますが、コアタイムと言って発表者が質疑応答で常駐する時間が定められています。
コアタイムは、5月25日(日)17:15〜19:15です。この時間帯はConfit内で待機していますので、Confit内のコメント機能を使って、発表者と質疑応答(チャット)を交わすことができます。吉川と会話したい方はこの時間内でどうぞ。

参加方法

オンライン(Confit)上で参加する方法を案内します。

発表日前日の5月24日(土)までに、下記の申込フォームから申し込んでください。

「パブリックセッションオンラインポスター参加申込フォーム」
https://business.form-mailer.jp/fms/6108b4b4144375

大会事務局より、ConfitにログインするためのIDが無料で発行されます。5月25日 1日限定のIDです。
お手数をかけますが、パスワードも設定していただく必要があります。

大会当日(5月25日)に申込しても、大会事務局は当日会場で運営に専念するため、IDの発行はできないとのことです。ご注意ください。

その他詳細は以下の参考リンクにてご確認をお願いします。


参考リンク

一般公開(パブリックセッション)参加者の方へ|JpGU2025
https://www.jpgu.org/meeting_j2025/for_public.php


2025年4月6日

「情報募集中」の場所を最新の内容に更新しました

当ブログで古くから呼びかけをしている「情報募集中」のページを更新しました。

この数年間に生まれた各種の謎についても追記しております。


【情報募集中】探しています

私は、インターネットで多くの方々から得難き情報をいただき続けてきました。

そのうえでさらなる情報を求めるのは欲張りですが、まだまだインターネット上でお会いできていない先達の方、地元の方がいらっしゃると信じています。

私なりにまとめた情報もたまってきて複雑怪奇となっていますが、お時間が許しましたら内容をご覧いただき、お持ちの情報をどしどしお寄せください。


2025年4月1日

「石を持ってみた」掲載(『パッション』第76号)

四日市市文化協会発行の『パッション』第76号に、「路傍の自然石考⑯ 石を持ってみた」が掲載されています。

冊子体は四日市市文化会館などで頒布しています。


2025年3月29日

日本地球惑星科学連合(JpGU)2025年大会でポスター発表を行います

2025年5月25日~30日に開催される、日本地球惑星科学連合2025年大会で、「日本列島の自然石文化と岩石の信仰」と題したポスター発表を行います。

私が所属する文化地質研究会のセッション「変動帯の地質と文化」の中で参加します。

セッション「変動帯の地質と文化」では,とくに日本列島のような変動帯に生きる人々の生活や文化・文明が,地質とどのように関わってきたか,そして現在もどのように関わっているか,幅広い視野での研究成果を提示する.たとえば,(1)石材などの材料・資源とその由来,(2)考古遺物の分析と由来,(3)日本列島や地域の固有文化と地質の関わり,(4)博物館やジオパークなどでの啓発普及・教育実践,(5)地質に関わる文学や哲学,(6)山岳霊場や岩石信仰など宗教と地質との関わり,などについての研究発表である.これらの人と地質との関わりを論じた研究成果に加え,市民活動の報告を幅広く示すことで,私たちが変動帯に位置する日本列島で生きることの意味を総合的に議論したい.

https://confit.atlas.jp/guide/print/jpgu2025/session/O05_25PO1/detail


初日の5月25日(日)、幕張メッセ国際展示場7・8ホールがポスター会場です。

私は現地参加せずオンラインでの参加です。また、招待講演と書いてありますが特に講演はしません。

オンライン上の大会サイト「Confit」にてポスターを掲示します。当日のコアタイムとされる17:15〜19:15の間、ポスターをご覧になった方からの質疑に応答するつもりです。

https://confit.atlas.jp/jpgu2025?lang=ja


日本地球惑星科学連合(JpGU)は地球惑星科学(地学)に関する学会・協会が参加する組織です。

基本的に所属学会・協会経由でJpGUのIDを取得して参加する形ですが、初日5月25日(日)だけはパブリックセッションデーとされ、一般の方も所定の手続きで参加可能と聞いています(詳細はまだ公開されていないので不明)。


5月16日に大会予稿集のpdfファイルが公開予定なので、その時にまた詳細をお知らせいたします。

というよりこれからポスターの内容を詰めます。5月まではポスター作成に勤しむことになりそうです。


2025年1月20日

大場磐雄博士写真資料を追加

「大場磐雄博士写真資料」で公開されている岩石信仰に関する写真で、他で見られず資料性が高いと判断したものを、本ブログですでに紹介済の探訪記に追加しました。


後日、まだ本ブログで投稿してなかった葛飾の立石や、未訪ながら非公開で今後も写真撮影至難と思われる宇佐八幡の三つ石や長野の児玉石神事も本写真を利用して投稿予定です。


大場磐雄博士写真資料は、國學院大學デジタルミュージアムが公開するクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのデータです。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、転載などの二次利用を著作権者が許諾した資料であり、大場磐雄博士写真資料もクレジット表記と非営利使用であることを条件に二次利用が許可されています。

今回、埋もれていた写真資料を再活用して、岩石信仰の記録としての資料価値を高められたことをありがたく思います。

2024年10月13日

岩石の終了② 「なぞの石神」の終了記録

 


四日市文化協会誌『パッション』75号に書きました。

冊子体は四日市文化会館などで頒布中で、後日、pdfが協会HP(http://www.yokkaichishibunkakyoukai.com/passion.html)に公開されるでしょう。


2024年4月14日

近況報告

昨年末から今春にかけて発表された各種成果をお知らせします。

これで数年来の取り組みの大方は出尽くしましたので、またしばらくはインプット作業に専念します。

それまでは下記の成果物をご覧いただけましたら幸甚です。


2023年12月

「愛知県北設楽郡設楽町(旧名倉村域)における自然石の文化財」を『地質と文化』第6巻第2号で発表しました。

地域調査の報告書ですが、自然石文化の取扱説明書としてお読みいただくことができます。

下のpdfで全文公開されています。

https://drive.google.com/file/d/1Fq9Rl8UfF6xiVf3Mf0JoJkxajNBiBxov/view?usp=sharing


2024年2月

「失われし岩石・巨石信仰。畏れと期待、その世界観とは。吉川宗明氏インタビュー」が、webメディア「Less is More. 」で掲載されました。

私および岩石信仰の世界を知っていただける、名刺代わりの文章となりました。

下のリンクからどうぞ。

https://note-infomart.jp/n/n2717b9684e42


2024年3月

「岩石信仰研究の視点」が、京都大学学術出版会刊『変動帯の文化地質学』に収録されました。

論文の体裁ではありますが、書籍の刊行意図に合わせて内容は概要的なまとめと後学への問題提起を主としています。

数年間はこの手の文を書く予定がないので、遺言めいたメッセージを込めました。

購入は下記の出版社HPや当HPのカタログからどうぞ。

https://www.kyoto-up.or.jp/books/9784814005161.html


2024年3月

平凡社刊『最新 地学事典』の「磐座」の項目を執筆しました。

150字程度のものですが、バランスの取れた磐座の意味を後世に残すことができました。

磐座の意味として参照されていくことを願います。

購入は下記の出版社HPや当HPのカタログからどうぞ。

https://www.heibonsha.co.jp/book/b640570.html


2024年3月

「愛知県設楽町における岩石信仰の地質学的検証」を『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第41号で発表しました。

地質学者の鈴木寿志氏との共著です。地質学的見地はすべて鈴木先生によるもので、私は本論を岩石信仰の学史の中に位置付けるところを負いました。

あの巨石は人工物で巨石文化の遺産――などの言説に出会ったら、本論文を使って釘を刺していただければ幸いです。

pdfで全文公開されています。

https://otani.repo.nii.ac.jp/records/2000162