2018年7月12日木曜日

田頭 岩窟観音堂(長野県長野市)


長野県長野市戸隠栃原田頭 字裏の山



戸隠の田頭地区にある岩窟観音堂は、樹齢約500年といわれる大杉(天然記念物)の存在で知られる名勝である。
これと併せて、岩窟観音堂の名前が表すように、本堂の背後と隣に2体の巨岩が控えることにも触れておきたい。
周辺にこれほどの岩盤の露出は見あたらず、この地だけに忽然と存在する。

田頭岩窟観音堂

県外者は、田頭地区まで来るのが一苦労である。

長野市街から車で約1時間。
国道406号経由と戸隠神社方面から地方道を進むルートがあるが、いずれのルートも狭道であり普通車はやや難儀する。
(私は普通車で来たが)

田頭に入ったら、この看板のとおりに進む。

田頭岩窟観音堂

ここで私は道を間違えまっすぐ進んだが、正解は右。
よく見ると、道の分かれ目に「岩窟観音堂の大杉」を示す標識があるが、狭道のため注意が散りやすく、標識に目が行きにくい。
まっすぐ進むと、後で触れる妙見神社・妙見寺にぶつかる。
徒歩であれば、妙見神社・妙見寺経由で行きつくこともできるが、ややわかりにくいので林道経由を推奨したい。

田頭岩窟観音堂

先の分岐を右に進むと、林道「上ノ入線」に突入する。
別の道につながらず、やがて袋小路になる林道のようだ。
道幅はそこまで狭くはないが、未舗装のため夏は草が繁茂しすぎで車が入れる道になっていない。

田頭岩窟観音堂

上写真の道路状況はここがたまたま良いだけで、探訪日(2018.6.30)は倒木と落石が多く、現状で車の進入はお薦めしない。夏は特に進入車が少ないのではないか。

上写真の「岩窟観音堂の大杉」の説明看板が右手に見えたら、右の山側斜面に取りつく。
上写真ではよく分からないと思うので、さらに拡大。

田頭岩窟観音堂

上写真中央の踏み跡を登ればすぐ岩窟観音堂が見える。

私は初めは夕方に訪れたため、この踏み跡が薄暗く観音堂への取りつきとわからず、林道の先にあるのだと勘違いしひたすら突き進んで敗退。
翌日に再訪したところ、昼間なら林道からも観音堂が見えたので2回目で見つけることができた(夏なので繁茂でよりわかりにくいのだろう)。

田頭岩窟観音堂

ちなみに林道を直進すると、「岩窟観音自然園」の2001年の看板が立つ場所がある。

田頭岩窟観音堂

そこに東屋があり、おそらく駐車スペースを思われる広場があるが、ご覧のとおり伸び放題なので夏は車の底をこする覚悟で。
冬は冬で凍結の恐れがあると思うので、車でのアクセスは春か秋限定かも。
かつては観光地化されたような形跡があるが、現状は再び取り残されている感がある。

田頭岩窟観音堂

岩窟観音堂の遠景。
よくここにお堂を建てたと感心する斜面。舞台造となっている。
写真の左右に巨岩が相対する。

田頭岩窟観音堂

本堂の前に屹立するのが大杉。

田頭岩窟観音堂

田頭岩窟観音堂

「岩窟観音堂維持お手植えの杉」とある。
維持は平安時代の平維茂(たいらのこれもち)のことで、戸隠一帯に鬼女・紅葉を維茂が討伐した紅葉伝説が広まっており、その伝承地となる。

田頭岩窟観音堂

本堂掲示(1929年、信徒総代3名と大昌寺住職滝沢天海氏の記述)からかいつまむと、次のとおりである。

  • 名称は「妙見寺(岩窟観音堂守護寺)」「奥の院岩窟観音堂」
  • 本尊は弘法大師作(伝)とされる観世音と馬頭観世音。
  • 平維茂が鬼女・紅葉を討伐する時、北向観世音(小県郡別所村)に祈願したところ、紅葉の居場所を霊夢で知り討ち取ることができた。
  • 紅葉討伐は観音の霊験と感激した維茂は「奇巌相聳える地を探し」、北向観世音の分霊をまつったのが当地だという。

伝承上の話ではあるが、維茂が観音をまつる地をなぜ「奇巌相聳える地」にしたのかは不明である。

田頭岩窟観音堂

田頭岩窟観音堂

本堂の背後には、堂に接して上の巨岩がそびえている。
岩肌には大小の窪みがあり、堂背後には岩窟状の空間があるのかどうかは不明だが、構造的にはあってもおかしくない。
戸隠神社の奥の院も背後に岩窟を有し、祭祀構造としては同等である。

田頭岩窟観音堂

本堂の西にもう1体巨岩がある。

田頭岩窟観音堂

こちらは社祠をまつっているようである。
神名は明示されておらず不明。

田頭岩窟観音堂

実際は石仏も奉献されており、神仏混淆の世界である。
紅葉伝説の一伝承地として語られる場所だが、このような斜面に舞台造の堂を設けた理由はこの2体の巨岩の立地に他ならない。
この岩石信仰はいつまで遡れるのか興味がある。

田頭岩窟観音堂

麓には妙見神社と妙見寺がある。
前述の掲示によれば、ここの奥の院として岩窟観音堂は位置づけられている。
神社の右を通る踏み跡が本来の参詣道だったと推測され、この延長線上に岩窟観音堂がある。

田頭岩窟観音堂

参詣道に並ぶ多数の石仏群が歴史を物語っている。

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