奈良県奈良市都祁小山戸町 都祁山口神社裏山
都祁山口神社は延喜式内社でるが、論社は他にもあり当社は候補の一つである。
また、同じく延喜式内社であり都祁村友田に鎮座の都祁水分神社は、元来当地にあったともいい、山口神・水分神の神格にふさわしい聖地だったと言える。
この都祁山口神社の裏山を5分ほど登った山のへりに「御社尾の神石」がまつられている。
御社尾(ゴシャオ)が、岩そのものの名前でもある。
元慶3年(880年)、水分神が白龍の姿で降臨した磐座と伝えられる。
神石の手前で立入禁止の札が立つため奥の様子はわからないが、岩盤が地面から瘤状に盛り上がっていて、神の座石としてふさわしい形状をなす。
立地も興味深い。二つの尾根がちょうど重なるところに御社尾の神石があり、神石の奥から本格的な山に入っていく。
また、磐座の手前は谷になっており、その谷の先に都祁山口神社の社殿がある。この谷を「かもし谷(カモエ谷とも)」と呼ぶらしい。
山口神をまつる立地でもあり、水分神をまつる立地でもあるということだ。
さらにそれ以前の歴史を語るものとして、御社尾の神石の近くから古墳時代の管玉が発見されており、表面採集ではあるが祭祀遺跡としても知られる。
近くには「都祁直霊石」と刻まれた岩石があり、御社尾を「都祁直(あたい)」の「霊石」と説明する石標にも思えるが、現状ではこの石の前に榊が献じられていることから、この石自体が霊石となっている。
都祁直霊石 |
参考文献
- 小野真一『祭祀遺跡地名総攬』(考古学ライブラリー11)ニュー・サイエンス社、1982年
- 国立歴史民俗博物館(編)『共同研究「古代の祭祀と信仰」附篇 祭祀関係遺物出土地名表』(国立歴史民俗博物館研究報告 第7集)第一法規出版、1985年
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