京都府京都市上京区 京都御苑内 白雲神社境内
現地看板によると「御所のへそ石」(京のへそ石は一般的に六角堂のそれが有名)の異名をもち、撫で石としての霊験を伝える。薬師の名もこれに縁するものかもしれない。岩石の前面の凹凸を人面と形容するのも、薬師の顕現の表れということか。
白雲神社の社殿背後に存在。玉垣は岩石を囲わず手前の供花台と板石の部分を覆うのも独特である。 |
写真中央の岩肌に凹凸の陰影の深い部分があり、これを人面に準えたものか。 |
側面から撮影。岩石の基部には、岩盤に石を噛ませているようである。 |
現地看板 |
看板では古くからの磐座と記すが、歴史的にはどのような存在だったのだろう。
白雲神社は京都御所の中にあり、元々は西園寺家が個人的にまつる妙音堂だった。その由縁から「西園寺の妙音天」という呼ばれ方が元来的で、明治時代になって西園寺家が東京へ移ってから祭祀を存続するために白雲神社として神社に改称した。
薬師石の来歴を文献からたどるのは難しい。1996年発刊の下記文献に、境内に薬師石がみられるの一文を確認できたくらいである。
文献に記されていなくても、このように私的な祭祀の場の場合、公刊化されていない私文書や口伝において信仰が継続されていた可能性もある。その点で白雲神社自身が文章化した現地看板に勝る内容はない。
参考文献
- 現地看板
- 石原康夫「京都白雲神社記」『私考弁才天記』第3巻,石原康夫,1996.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13223711 (参照 2025-10-20)
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