2018年7月19日木曜日

塩釜市竜頭島のニュースに接して感じたこと

「塩釜・竜頭島が削られる 宮城県、防潮堤工事中断し保存へ 市民『びっくりがっかり』」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180719-00000014-khks-pol

宮城県塩釜市の竜頭島。岩礁のようです。
40年前、県の工事でつぶされる予定だった島ですが、当時の地元の保存要望を受けて守られた場所だそうです。

それが今回、県が防潮堤の接続道路を通すため改めて工事区域に入り、工事中に壊されていることに気づいた人が抗議して、取り壊しはストップ。今は保存に向けて動いているそうです。

これだけだと県が悪いようですが、県も事前に確認や伺いは立てていたようで、

>県は防潮堤工事に先立つ調査で島が特別名勝・松島に該当しないことを確認。近くの市魚市場関係者らに工事の是非を尋ね、「支障ない」との返答を得たため重機を入れたという。

ヤフーニュースに上がったので色々なコメントも載っていて、人によって色んなリアクションが出たことに興味を惹かれます。
いくつかピックアップすると、

Was***** | 1時間前

それほど大事なら、市が文化財に指定しておかないと、県の指定にもならないしね。この話からしたら間違いなく手続き上、問題なく扱われて普通に更地にされます。
もう少し早く市に働きかけておくべきでしたよね。

hak***** | 1時間前

少なくともこの程度の岩山を観光資源にするのは無理だろう。
思い入れがある人がいるのは分かるが、あの津波を経験してそれでも岩山のほうが大事なの?

tsu***** | 1時間前

双方言い分はあるのはわかる、、
闇雲に壊す計画ならNGでしょうが、
弊害になるのならばやむを得ない、
ですよね。

反対したあなた方、あなた方の命より
岩が大事ならば勝手に命をたてばよい。

** *a*8*** | 2時間前

文化財等に登録しないと、
役人の変更では継続なんかしない。
結果的に不必要な物にされてしまう。

yam***** | 1時間前

命や財産を守る防潮堤より大切なモノってなんだろ。

一介の石好きとしてはグサッと刺さる声もありますが、
一方、正論として聞くともう、どれもおっしゃるとおり。
どれも肯けるんですよね。
石は正論とは真逆の存在でしょうから、正論をぶつけられるとどうしようもない。

竜頭島自体は接続道路の通り道で、防潮堤になるわけではなかったみたいですが、コストで考えてこうしたわけですから、県が保存を決めたことでコストアップは必至でしょう。
県も大変です。

なによりも、近くの市魚市場関係者らが「支障ない」と答えたことからも、地元の方すべてが「びっくりがっかり」というわけではないことも事実。

正論やコスパで考えれば、それは40年前の人間の思いより、今の人間の声を大事にすることは当然です。

私は石好きですが、何が何でも石保存派ではありません。
どちらかというと歴史重視派です。

石の扱い方を文化財や観光地にするとかあまりに一面的で、別に指定しなくてもいいし、その結果で石が淘汰されるならそれも歴史です。
一つだけ言えるのは、原状は回復できないということ。二度と元の石には戻せません。
その重みを知るのなら、何をしても良いと思います。 組織ですからだれも責任はとらないものですが。

4分の1だけ削られた竜頭島。
こんな状態だともう意味ないじゃんという気持ちもわかりますが、私個人はこれはこれで、守りたい人間と壊して別のものを作りたい人間の両方の歴史が見た目で残ったという意味で、まさに文化財もの。
何にでも人間の起こした営為に意味は見出せます。

石そのものより、石を人間がどう見るかという歴史の方に注目しています。
だから、石よりも大事なものがあるよねという大勢の感性に理解しつつ、このブログで逆張りする意味合いは再認識できました。

3 件のコメント:

  1. この島の保存運動に関わった者です。ニュースの伝え方が不十分で、島とか岩とかどうでもいい様な意見が散見されますが、工事主体者宮城県から塩釜市に問合せがあった時に、問合せのあった部署から教育委員会の担当者に竜頭島について聞けば、間違いを阻止できたはずです。この島は、単なる岩山では無く、民話もあり塩釜の地名に由来する島です。係留する漁船も少なく、そもそも当初の計画である島の50m手前で係留岸壁工事を終えていれば良かったことなのです。松島湾では島が津波の緩衝の役割を果たしました。

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    1. 県は防潮堤工事に先立つ調査で島が特別名勝・松島に該当しないことを確認。近くの市魚市場関係者らに工事の是非を尋ね、「支障ない」との返答を得たため重機を入れたという。

      県は、近くの市魚市場関係者らに工事の是非を尋ね、「支障ない」と
      ありますが 地元の方にも確認は、とっていたのにこのような事になってしまったのですか

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  2. 災害ニュースに敏感な昨今、防波堤・防潮堤を造るといわれたらそれは正義にうつり、盲目的に肯定してしまう人が多いのでしょうね。
    明らかに文化的なもの(=人工的な史跡)なら意識が向けられやすいですが、自然のままのものほど、文化的な視点は欠けがちです。自然石にはそういったことがよくあります。
    工事を行なう時、史跡名勝についての問い合わせのフローが各自治体で定型化されることが今回の反省で生まれると良いのですが。

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インタビュー掲載(2024.2.7)