2019年9月23日月曜日

酒見神社の磐船と御姿石(愛知県一宮市)


愛知県一宮市今伊勢町本神戸字宮山

元伊勢伝承地・尾張国中島宮に比定される神社。
倭姫命が、石の船で酒を醸し天照大神に献じた場所とされ、その磐船が境内に残っている。

磐船

元来あった形とは違うことに留意

磐船は独立した建屋と石碑で保管されている。


磐船のほか、石槽・酒槽石・酒船石などの別称もある。

この磐船で、毎年伊勢神宮に供える神酒を醸造したという。
もろみを石の上で押し搾り、酒粕と清酒を分離させる働きを持っていたと考えられている。

磐船は横120cm、縦50cmの凝灰岩で、2つの岩石に割れている。
石の上面には僅かな窪みが確認できるが、全体として磨耗状態が激しい。

オコリの患者に、この石の粉末を飲めば治るといわれていたことも加わり、摩滅が進んだという逸話が付帯する。

実際に醸造に用いられていたかはわからないが、少なくとも本殿裏の地中に2個の酒甕が埋められていることが確認されている。


さて、本殿背後には倭姫命社があり、これは柱を四隅に立てただけで壁を持たない特異な社殿であり「吹貫ノ宮」の異名を持つ。
さらに本殿に接して「倭姫命の御姿石」(姿見石とも)という立石が存在する。
倭姫命が自らの姿見に使うため石工に作らせたとも伝わる。

しかし、倭姫命社・御姿石へ至る参道が見当たらず、むやみに立ち入りできる様子ではなかった。拝殿から本殿側をのぞいてみるが、倭姫命社・御姿石を直接確認することはできなかった。
web上にも全く写真がないため、おいそれと見れるものではないようだ。



参考文献


  • 森徳一郎 「本神戸酒見神社」 『尾張の遺跡と遺物』第46号 名古屋郷土研究会 1942年 (愛知県郷土資料刊行会 『尾張の遺跡と遺物』下巻 1982年版を参考とした)
  • 坂重吉 「酒見神社の酒船石」 『尾張の遺跡と遺物』第46号 名古屋郷土研究会 1942年 (愛知県郷土資料刊行会 『尾張の遺跡と遺物』下巻 1982年版を参考とした)


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インタビュー掲載(2024.2.7)