2021年1月17日日曜日

櫛石窓神社裏山の霊岩(兵庫県丹波篠山市)


兵庫県丹波篠山市福井

かつてこの辺りは大芋荘と称され、櫛石窓(くしいわまど)神社は大芋荘を含めた四十八ヶ村の総社として信仰された。
「丹波の国大芋の大宮」の通称もあるといい、延喜式内社として古来からの岩石信仰を伝える地である。

櫛石窓神社

社殿背後の宮山(禁足地)

社殿の背後に、宮山と呼ばれる高さ約30mの小丘があり、神山として神聖視されている。

この宮山の頂上に、祭神の櫛石窓命・豊石窓命が降臨したと伝わる「霊岩(みたまいわ)」があるらしいが、宮山は禁足地のため山内に入ることはできない。

かつては麓から山頂に露出する巨岩群が確認できたそうだが、後に植林が行なわれ、現在は社叢繁茂して麓から確認することができない。


大場磐雄博士は昭和26年に当社を訪れ、社殿内陣の神像三体を拝観したのち、下のとおり宮山を登拝している。

御山(宮山という)の頂に到れば神格の基ずくところ、巨巌壘々と盤居せり、即ち頂上を周りて八個程の巨石ほぼ円形に露出し、南側には二個の立石屹立せり、石は硅石なりという。白く風化して霊格あるが如し、ここにてまづ霊岩を模寫し、それより御山の全体をカメラに入る
茂木雅博(書写・解説)・大場磐雄(著) 『記録―考古学史 楽石雑筆(補)』博古研究会 2016年

そのとき撮影したと思われる写真3点が國學院大學の大場磐雄博士写真資料データベースにて公開されている。

・宮山(目録番号ob3154)
http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_fop&data_id=3572

・霊岩1(目録番号ob3155)
http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_fop&data_id=3573

・霊岩2(目録番号ob3156)
http://k-amc.kokugakuin.ac.jp/DM/detail.do?class_name=col_fop&data_id=3574


なお、インターネット上では神山頂上に立ち入って巨岩群の写真を掲載しているページが散見されるが、冒頭に書いたとおり現在神山の中は禁足地である。

大場博士の頃は、登れる空気感だったか神社の調査許可を得たかはっきりしないが、少なくとも現在においては、境内掲示に神山への立入禁止は明記されている。あれこれ理由をつけたとしても、無許可侵入を正当化することはできない。
我欲に負けることなく、信仰している人の権利と立場を最優先してほしい。

社頭掲示


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