2021年7月26日月曜日

六請神社の力石大明神(京都府京都市)


京都府京都市北区等持院町


六請神社(ろくしょうじんじゃ)は、北方にそびえる衣笠山に葬っていた御霊を鎮めるための御霊社として始まったとされる。

その後、町名にもなっている等持院の鎮守社として位置づけられ、伊勢大御神・石清水大神・賀茂大神・松尾大神・稻荷大神・春日大神の六神を勧請したことから六請神社の名がついた。


境内の一角に、力石大明神と呼ばれる大石がまつられている。力石大神ともいう。




この大石を持ち上げると願いごとが叶うという力石の一種であるが、力石自身が神格化しているケースであるのが特徴的と言える。

大人でも一抱えある大石であり、これを一人で持ち上げるのは相当の難儀を要しただろう。


そこで現在は持ち上げるのではなく、社務所で授与している小石に、自分の名前・性別・祈願内容を記して奉納すると同様の霊験があるという祭祀が生まれた。

祈願成就の暁には、そのことを小石に記して改めて奉納する旨もあり、全国的に類例の見られるお守り石として正しい影響下にある。

信仰者の思いを岩石という形代に宿らせ、それを神前に奉納することで、信仰対象たる力石大明神に願いが転送されるという祭祀構造をとっている。


元来は可動的な道具だった岩石が、不可動性を獲得してからは信仰対象に変じた事例と考えることができるだろう。


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